なぜ売上げが伸びないのか?-①何をやりたい会社なのか分からない(本当の会社方針やビジョンがない)

どの会社にも会社方針やビジョンといったものがあると思います。しかし大抵は額縁に飾られているだけになっていたり、朝礼で斉唱することにはなっていても惰性でやっているだけだったりしていないでしょうか?こうした会社で多いのは、会社の方向性が漠然としているため、何をやりたい会社なのか社員間で共有されていないことが多々あります。何を目指すのか分からないのですから社員のモチベーションも低く、何をどの程度売りたいのかも曖昧になっています。日々何となく活動するだけですから、会社が強くなることもありません。

会社の目指す方向が曖昧な会社では、社員の対応もバラバラです。ある社員は顧客の要望に何でも“YES”と回答する一方、他の社員は“NO”ということもあるので顧客も混乱します。最悪のケースでは、売れれば何でも良いという風潮も生まれ兼ねず、倫理的に問題であったり違法行為であっても販売してしまうなど、長期的に見て会社運営が危機的状況に陥ることもあり得ます。

テレビのニュースでみる食品の使い回しによる食中毒の問題。これなども会社方針やビジョンが軽視され、売ることが最優先になり歯止めが利かなくなったのではないでしょうか?安全を一切考慮せずに何度も再利用するなど、通常では考えられないことさえ起こります。本来であれば、安全で美味しいものを提供して、顧客に幸せを感じて貰うことがビジョンだったはずであり、そうであれば安全が確認出来ない食品は販売していなかったはずです。こうした会社にもビジョンや会社方針はあったはずですが、きちんと共有されていなければ、それはないのと同じということです。

ある自動車部品製造会社では、顧客の要望に応えるために全く製造と関連のない仕事まで引き受けてしまい、その業務のための投資や人員を割いてしまったため、本来の新規製品開発が出来なくなったという話がありました。何をやりたい会社なのか会社方針やビジョンが明確になっていれば、全く業務と無関係の仕事であれば引き受けず、本来の開発業務に投資をしていたでしょう。新製品・新技術が出て来なければ、長期的には顧客も困ることになります。良く言えば顧客の要望に何でも応える会社なのですが、言い換えると何をしたいか決まっていない単なる便利屋になってしまいます。これでは社員のモチベーションも高まりません。

会社方針やビジョンが明確になれば、なぜ売ることが重要なのか、どれだけ何を販売したいのか、そこから得た利益をどう使って行くのかといった、会社の本来の目的が自然と理解されて来ます。その会社方針やビジョンを達成することが単なるお金儲けでなく、社会にとってなくてはならない会社になることであればどうでしょう?やってもやらなくても良い仕事と、社会的にも意義のある仕事では、どちらが社員のモチベーションを高めてくれるでしょうか?同じ志を持った人達で構成され、同じ目標に向かって行ける組織は非常に強いです。もし思ったように売上げが上がっていないのであれば、もう一度自社の会社方針やビジョンが共感を得るものなのか、また全社員と共有されているかどうか確認してみることをお勧めします。