なぜ売上げが伸びないのか?-⑥営業が事務員になっている

顧客の窓口となっている営業の仕事は多岐に渡ります。しかし新規ビジネス獲得に取り組む営業がいなくては、売上げが伸びることはありません。良く使われる営業の表現に、顧客対応をきちんとしておかないと新規の話は来ないというのがあります。確かに正論であるのですが、それが新規を追いかけない口実となっている時には注意が必要です。

例えば納品遅れに対してクレームが営業に入ると、営業が生産管理に生産状況や出荷計画を確認し、何時納品できるのか確認します。他部署だけでなくサプライヤーへも問い合わせたりして半日作業に追われることもあります。時には営業が梱包作業まで行い、更には社用車を走らせて自ら納品に向かう事もあるでしょう。こうした納入問題が多発する会社では、営業の仕事がクレーム処理だけに終わることもありますが、これでは本来の営業活動は出来ません。出荷状況に関してならば生産管理に任せれば良いのに、なぜ営業担当者は自ら動いてしまうのでしょうか?

これは顧客へ早く回答したいという責任感もあるのでしょうが、それ以上に仕事をした充実感が得られることにもよると考えます。新規ビジネス獲得というのは、実際に獲得出来た時の喜びは大きいものですが、そう簡単に経験出来るものではありません。殆どが失敗の連続になってしまうため、仕事の充実感を得ることが非常に難しいのです。特に成功体験のない営業だと、営業の面白さを感じることが出来ず、ただ苦痛な仕事になってしまうようです。それに比べて日々のクレーム処理であれば結果はすぐに見えますし、出荷が予定通りされれば顧客からも感謝の言葉が貰えます。こうして営業をしない、営業という部署にいる事務員というのが増えて行くことになってしまう会社が多く存在します。

また良く見かけるのが営業担当者でありながら、終日机に座ってパソコンに向かい営業事務をしている人がいます。人にもよるので一概には言えませんが、営業に向いている人というのはデスクワークが苦手で、一日中パソコン作業をすることに苦痛を感じます。それよりも外に出て情報収集をしたり、顧客と会話することでビジネスの切っ掛けを作ったり、実際に訪問して売込みをすることを好みます。事務仕事が好きな人を新規開拓営業にしても結果は出ないだけでなく、本人にとってもストレスになってしまうので、やはり仕事への適性は充分に考慮する必要があるようです。逆に営業向きな人にデスクワークばかりさせてしまうと、これもストレスとなってしまうので注意が必要です。

新規開拓では、10件中10件受注はあり得ません。顧客から拒絶されるのが普通で、それがずっと続きます。それでも気にしない図太さもありながら失注から学び、それをどう活かして行くか考え、また活動的に動くことが好きで多くの経験を積んで行ける人が優秀な営業になるのだと思います。新規ビジネス獲得をして行く上で、本当に営業に適正だと思える人を配置しているか再考してみては如何でしょうか?